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流れのゆくえ ~ 4番目の橋

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好評だったダーリンとのなれそめ小説。

ダーリンとの出会いからプロポーズまでのまとめ

第2話はプロポーズをされてから、

離婚するまでの話です。

前回までの話。

第2話 流れのゆくえ

*****************************************

蝉の音が、ジリジリと照りつく太陽の温度を更に上げているように思えた。

蝉は7年地中の中に居て、地上で7日生きる。

どども7年地中に潜ってる様な結婚生活をしてきたけど、

そろそろ地上に出る時なのでは?

たとえ7日しか生きられなくても、

その方がずっといい。

どどは、マナトさんと会うために、駅に向かっていた。

あれから、旦那からは何も無い。

時折メールで、

(早く離婚してください)

と送ってはいたが、

財産分与をどうするのか?

と、意味不明な事を言ってきていた。

財産分与?

そんなにあなたは金持ちなんでしょうか?

そもそも、ゴルフと風俗にお金を使って、

地味な生活で切り盛りしていたのは、

私なんですよ?

それに、働いているとは言え、

年収は軽く3倍も多い旦那なのに、

ほんの少し貯めたお金を、

自分の物にしようとするのでしょうか?

改めて、お金の事は一切言わずに家を出てきた、

マナトさんの男前っぷりに驚くばかりだった。

世の中の男が、全員マナトさんみたいな男だったら、

女はもう少し、弱いふりをして生きられそうだ。

いつまでたっても子供で、

妻を母親に見立てて、甘えるせいで、

強い母親にならなくてはいけないのが、

どどだった。

自立した大人の男は、日本には居ないのかな。

そんな風にも思った。

太陽で焦げているアスファルトは、

大阪の湿気と結びつき、

尋常ではない暑さを演出していた。

でも、寒いより良い。

マナトさんの身体は、寒い所だと筋肉が硬直し、

思うように動かなくなる。

同時に神経障害も酷くなる。

つまり、手足のしびれが酷くなるのだ。

こんな暑い夏の日なら、

まだ出かけるのには良い。

何度か電車を乗換て行った先は、

南港。

埋め立てて作った人口の島に、

ショッピングモールやレストランがあるのだ。

マナトさんが海が観たいと言ったので、

今日はそこで会う事にしたのだ。

流石に海の近くだと、風が吹いて気持ちが良い。

日陰に置いてあったベンチに座り、

いつもの取り留めもない会話を始めた。

マナトさんが、自転車に乗れた話とか、

そして自転車に乗って病院にリハビリに行ったら、

夜勤明けの理学療法士の方にたまたま会って、

驚かれた事。

どどは、お見舞いに行くときにいつも寄ってたスーパーに、

最近は行けなくなったけど、

チェーン店を見つけて行ってみたら、

商品構成があまりに違ってて、面白かった事。

など、本当に取り留めもない話を暫くした。

一通り話したところで、会話が止まった。

二人は海を眺めて居た。

これと言ってイベントも無い夕暮れの港。

遠くに行きかう貨物船。

穏やかだった。

しかし、心の中はちっとも穏やかではない。

最初に口を開いたのは、マナトさんだった。

「あ、この前ようやく、

区役所からはがきが来て、

離婚届を受理しました。

って・・・・」

「え?もう離婚出来ちゃったの?」

「いや、いつになったら出してくれるのかな?

って思ってたけど、メールで聞いたら、

仕事が休みの日に出しに行くって言ってたもので。

もう、別れるって決めたんだから、

あんまり先延ばしにするのは良くないし、

その方がアイツも良いと思ってな。

早めに出しときや!って言ったんだ。」

このキレの良さには、若干クラクラした。

旦那との違いが歴然。

人間力というものを測る何かが、あるというなら、

マナトさんは間違いなく、人間力の値が高いはずだ。

旦那は残念ながら、とても低いと思う。

改めて、社会的地位とは?

という疑問を感じ始める。

社会的地位があり、

人間的に優れた希少価値のある人間は、

なかなかお目にかかれない。

離婚経験者の男友達は、

嫁に離婚してくれ!と言われて、

二つ返事で離婚届に判を押したそうだ。

理由が素晴らしい。

結婚するときに、

この女性の人生をお預かりする代わりに、

本人が辞めたいと言って来たら、

いつでも、どんな状態でもすぐに別れてあげよう。

それが、自分の出来る誠意だ。

何て素晴らしい考えなんだ。

爪の垢を1グラム10万円で買うので、

売って下さい!

と、懇願したい衝動に駆られる。

なぜ、どどの旦那は別れてくれないのだろうか?

その後、大阪にやってきた旦那が会社の前で

どどを出待ちしてた

ストーカー事件。

あまりの気持ち悪さに、逃げたどどだった。

大阪のホテルのラウンジで、

涙を流して弁明する旦那に

5分に一度は「離婚してくれ!」と叫び続け、

隣の婚活カップルをドン引きさせた事件。

シクシク泣いてる旦那に、

「離婚もしてくれないのか?お前は!」

と、罵倒したのがクライマックス。

仕事中に突然電話がかかってきて、

「俺の預金口座を使えなくさせただろ?」

という、意味不明な濡れ衣事件。

定期預金の9割しか借りれないの知らないんですか?

銀行の店員さんに、聞いてみなさい。

そもそも、そんなにお金を使いこんでるんですか?

相変わらずですね。

冷たく電話口で苦笑された旦那は、

世界で一番惨めだったかも知れないが、

そんな旦那と結婚してるどどは、

世界で一番のバカ女だと思った。

旦那が私の実家に行き、

どどさんと別れたくない!と言って

両親に味方になって貰おうとした、

実家取り入り事件。

聡明な父に、

「どどが、話し合いに応じないと言うなら、

私から諭すことは出来ますが、

離婚するしないは、二人で決めて下さいね。」

と、バッサリ斬り捨てられたのは、

ざまあ見ろとしか言いようが無いが、

両親に何も話してなかった私は、

ちょっとだけ申し訳ない気持ちになった。

このバカ男から先に、

話が行くとは想定外の出来事だった。

色んな事が起こったのだ。

色んな事があるたびに、

旦那への興味は薄れ、

既に、「離婚もしてくれない、ダメな男」

とインデックスされた。

そして、何度目かの話し合いの日がやってきた。

喫茶店に行くと、

旦那が浮かない顔で座っていた。

同じ質問、同じ答え。

繰り返される会話。

ああ、また今日も同じ話か。

「お前、浮気してるのか?

他に好きな人が出来たから別れたいのか?」

「もしそうだとしても、

貴方と別れる事とは無関係じゃない?」

「じゃあ、やっぱり浮気してるのか?」

「してません。ただ貴方が嫌いなんです。

もう、男として見れないし、

今後、どんな努力をしても好きになれません。」

激流の先は、干乾びた大地が広がって居た。

ひび割れた地表。枯れ果てた草むら。

ただ風の音だけが聞こえる。

そんな殺伐とした場所だった。

一度は愛した男に、

言いたくもない言葉を、

機関銃の様にぶっ放さなければ、

ならない時もある。

崖にぶら下がった指を、

一本ずつ外して、

崖に突き落とすような、

そんな残酷な事をしなければいけないんだ。

ここまでやらないと離婚出来ないのか。

言われた方は、どう思ったか何て解らない。

言った自分の気持ちが、

ささくれ立って行くのが、

とても嫌だった。

嫌いになった訳では無い。

どどの人生において、不必要になったのだ。

だけど、わかりやすく「嫌い」という単語を

使わなければならないのが、

自分の思いと反していて、辛かった。

これが最後の一撃になったのか、

今までの攻撃がようやく効いて来たのか、

それは解らないけど、

旦那も決心が固まったようだ。

「じゃあ、別れるしかないな」

ちょっと、余りに嬉しくてニヤけそうだった。

そして、その後、なんやかんやとしゃべってたが、

何も頭に入ってこなかった。

嬉しすぎて。

別れた後、旦那のお父さんに電話した。

離婚する事が決まった事を報告し、

旦那の退路を断ったのだ。

まだ、何か言ってくるかも知れない。

でも、もう決まった事だという事実を、

第三者、しかも旦那側の人間に解らせておく事が、

自分にとって保険に思えたのだ。

荒野に居ても朝日は昇る。

太陽に向かって、歩き始めようと思った。

そしてこの戦いの最終局面に、

忘れもしない事件が起こったのだ。

「今週の土曜日までに家を出て行ってくれ」

職場にかかってきた電話で告げられたミッション。

その日は、水曜日だった。

「え?何言ってるの?

次の家が決まったら出て行くよ。

でも、まだ決まってないんだよ?」

「もう、決めたので、土曜日に出て行って下さいね」

「じゃあ、離婚届に判を押してよ!」

「それは出て行ってからにします。」

「はあ????」

旦那が条件を出してきたのは、初めての事だった。

ならば、これは必ずクリアしなければならないミッションのように思えた。

電話を切ったどどは、フル回転で考え始めた。

現在、水曜日の15時。

土曜日の13時に家を出て行くまでの時間は、

残り70時間。

「70時間で出て行ってやろうじゃないか!

みとけよ!

アホ旦那め!!」

カチャ。

どどの中で、何かのスイッチが入った音がした。

何となく、普通に離婚出来ると思ってたけど、

それは幻想だった。

モードチェンジしないと、

山道は登らない。

大きなエンジンなど無かった事に気が付いたのだ。

ここからアクセル全開でゴールを目指す。

改めて決意を固めたどどだった。

どぶ川は川幅を広げ水深も深くなったが、

突然出現した激流に飲み込まれ、

荒野に辿り着いた。

どこまでも歩いて行ってみよう。

その先の世界は、さっぱり見えないけど、

荒野の真っただ中に居た。

************************************

どうせ死ぬなら、

朝夏様に撃たれて死にたい。

本当に申し訳ありません。

(急に謝りたくなるのは、自分の気持ち悪さゆえ)

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