好評だったダーリンとのなれそめ小説。
ダーリンとの出会いからプロポーズまでの話
プロポーズされてから離婚するまでの話
離婚してから結婚・出産まで。
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西日の中、自転車でやってきたマナトさんを、
眺めて居た。
光の中から現れたマナトさんは、
いつものマナトさんだけど、
いつもと違うような気もした。
「今日から、よろしくお願いします!」
「こちらこそ!」
と、笑いながら話して、
区役所の中へ入って行った。
またしても、戸籍課。
半年前に、ドキドキしながら行った戸籍課とは、
全く違う「戸籍課」
離婚も結婚も同じ部署なのは、
仕方のないことだと思うけど、
産科と婦人科が同じのはどうかな?と思ったり。
提出した戸籍謄本の私の名前の欄に、バッテンがついてた。
だからバツイチなのね。
と、改めて確認した。
改めて、マナトさんと結婚できたことは、
人生における最大の幸福に思えた。
出会った時は、お互い結婚していたけど、
こうやって、今は二人で新しい家庭を持とうとしてる。
宝くじで当たるよりも少ない確率なんじゃ無いかと思う位、
奇跡に近いものを感じていた。
そして、長年の夢だった妊娠。
やがて経験する出産。
全ては夢の様だった。
人生は、何が起こるか解らないが、
離婚という壁をただ見つめて立ち尽くし、
何もせずに泣いていた、
あの長い日々は、決して無駄では無く、
今日の為に有ったのか?と思えた。
そもそも、東京生まれ、東京育ちのどどが、
大阪にやってきたのは、
元旦那のおかげだし、
だからこそ、マナトさんに出会えた訳なのだ。
元旦那が何かどどに良い事をしてくれたのなら、
それは、マナトさんに会わせてくれた事と、
マナトさんのドライマティーニが美味しいという事を、
教えてくれた事だけかもしれない。
あとは、どう考えても、
人生勉強と呼ぶには、あまりに酷い仕打ちの数々だけだ。
それでもマナトさんは、
お互い、前の結婚相手を憎んだりするのは、
それを選んだ自分も下げる事になるから、
そうするのは止めようって言ってた。
でも、どどはやっぱり許せない。
マナトさんの考え方は素晴らしいし、
本当にそう出来たら良いと思う。
どどは、元旦那への怒りと共に、
この先、生きて行っても良いと思ってた。
結婚届は一人で出さずに、二人で出そうね。
そう言いあって、二人で出しに来たのだ。
お互い、バツイチ同士、
口では忘れたような事を言っても、
離婚の傷はまだ癒えてない。
傷の舐め合いをしつつ、
社会復帰に向けてリハビリしてる、
そんな感じだった。
結婚届は、無事に受理された。
どどとマナトさんは、結婚したのだ。
マナトさんの姓になったどどは、
それから数日、銀行の口座やカードの名義の変更。
各種届出をして歩いた。
その度に、マナトさんの姓で呼ばれる自分がくすぐったかった。
前回は、そんな風に思った事が無いのに。
お腹の赤ちゃんは、とても順調に育っていた。
すっかり高齢出産だけど、
産科に行くのも楽しくて、
超音波で見える、
我が子を毎回眺めて喜んでいた。
不思議なもので、
離婚する前からポッカリと空いていた、
心の穴は、少しづつ埋まって来ていた。
どどは、ずっと孤独だった。
どういう訳だが、子供の頃から、
ずーっと孤独なのだ。
実は、離婚の前後に、
仲良しだった友達が、
ちょっと疎遠になってしまった、
という事もあった。
どどが浮気して、優しい旦那と別れ、
別の男と結婚した。
こういう風に思う人も居るのだ。
それは仕方のない事だけど、
自分に賛同して貰えなかったのは、
辛かった。
もう、この世にマナトさんしか居ないのか?
と、思った。
そんな時に、お腹の中にやってきた赤ちゃんは、
どどの理解者の様な気がして、
どどは一人じゃないんだ!
という気持ちになり、
お腹の子と一心同体なのがとても心強かったのだ。
産科に行くたびに、
体重オーバーな妊婦さんに遭遇し、
その度に、先生や助産婦さん達が、
物凄く怒るので、
どども、あんまり太ったらダメだなと、
臨月の産休中は、
散歩を毎日1時間程していた。
ダーリンのお店まで歩くと40分くらいだったので、
行きは歩いて、帰りは電車で帰ったり。
そんな風に過ごしていた。
そしたら、臨月なのに体重が減ってしまい、
怒られてしまった(笑)
「何してるの?体重減ってるじゃないの?」
えーーーー減っても怒られるのか!
と、ショックだった。
まあ、考えれば解る事なんだけど。
赤ちゃんに栄養が行き届かないのは良くない。
そして、予定日近辺の診察で、
驚くことが判明したのだった。
実は、どどの骨盤の内腔が小さくて、
赤ちゃんが下に下がってないというのだ。
確かに、胸の下にポッコリ居るのだ。
骨盤の外側は、しっかりしてるのに、
問題は内腔なのだ。
「予定日近いと、いつ破水してもおかしくないし、
破水したら親子共に危険な状態になるから、
来週の月曜日に帝王切開しましょう!」
え?
帝王切開??
え??
帝王切開??
え???
先生の説明はよくわかった。
レントゲン写真を見ながらの説明も、
明らかにどどの骨盤内腔と、
赤ちゃんの頭の大きさが合わないのもわかった。
でも、出産をすごく楽しみにしてたのに、
帝王切開か・・・
どうもやる気を削がれたというか、
ぶっちゃけショックだった。
どういうわけか、
どどと赤ちゃんの分離手術に思えたからだ。
一心同体として、どどの近くにいて、
いつも励ましてくれてるように感じていた、
お腹ん赤ちゃんが、
帝王切開で、一気に離れ離れになってしまう。
寂しかった。
ちょっと落胆しながら、
マナトさんのお店に向かった。
マナトさんのお店に常連さんが来ていて、
実は帝王切開することに決まったんだ。
ってションボリ報告したら、
常連さんが、
「じゃあ、焼肉行こう!」
って、焼肉に誘ってくれたのだ。
出産したら、しばらく焼肉いけないよ?って(笑)
いや、ほんとそうよね。
生まれたての赤ちゃん連れて焼肉は行けないわね。
焼肉食べてすっかり元気になったし、
なんせマナトさんが、
「生まれる時間決まってるなら、
ありがたいな」
って言ってくれたのが、
何か肩の荷降りたというか・・・・・
そこから、前日に入院するまでは、
入院用のパジャマなどを買い集め、
入院準備と、
出産後に必要なものを準備していた。
あれよあれよと、入院日になり、
マナトさん付き添いの元、
入院しました。
で、夜、久しぶりに一人でゆっくりしてた時に、
何か悲しくなってきたのだ。
赤ちゃんとお別れするのが辛かった。
今日までは一心同体だけど、
明日からは別々に生きていくんだなって。
ある意味、なんて子離れの早い母親なんだろう。
でも、それで良いのだ。
そもそも親子とはいえ、別人格なのだし。
涙をポロポロ流していた時に、
昔、離婚の壁を眺めて泣いてた自分を思い出した。
今のどどって、すごく幸せじゃん。
なんでこんなに幸せになったのかしら?
自分、すごいな。
色々あったけど、
どどは、夢を叶えたのだ。
そして明日、出会うお腹の赤ちゃんはどんな子なんだろう。
こんな時にも、前向きな自分が居て、
それがとても嬉しかった。
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朝夏まなと様、脚長すぎ!
このパンツ、普通の人がはいたらくるぶし丈なんだろうな・・・・・
マナトさんと、朝夏様は何の関係もございません。
(今日も確認OK!)
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