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どど飲み話5 酒乱女に落ちた天罰

職場の先輩サユミは、

普段は優しくて良い先輩なのだが、

酒が入ると、荒れ狂う女だった。

きっかけはいつも些細な事なのだが、

誰かが言った、ちょっとした一言に、

突然キレるのだ。

その日も、同僚のユカが言った、

「やっぱり彼氏居ないと卑屈になるんですかね?」

という、サユミでは無い他の人にあてた言葉に、

猛烈に反応。

「ちょっと、それどういう事?

私の事を言ってるの?」

確かにサユミは、30代半ばで独身。

彼氏も居ないし、

でも、今は別にサユミの話をしている訳ではない。

普通の人なら、

「私も他人の事言えないけど・・・」

って自嘲しながら、会話を合わせるものだけど。

とにかく戦闘態勢に入ったサユミは、

猪突猛進というか、

とにかく攻撃的で、誰の話にも耳を傾けなくなる。

この日も、まさにそんな状態だった。

私は、そんなサユミが羨ましくもあった。

人前でこんなに自分の感情をむき出しに出来るって、

なんだかすごい事だし、

結局こんな事しても、それほど嫌われて無いのが凄いな。

と、思うのだ。

とにかくサユミは、突然荒れ狂い始めた。

サユミは、もしかしたら、

何か精神的な病気なんかもあるのかも知れない。

とにかく尋常ではない様な狂い方だった。

ユカが何度も、

「サユミさんの事じゃないですから!」

と説明しても収まらない。

「どうして、そんな失礼な事が言えるの?

酷いじゃない?」

と言えば良さそうな事を、

「ちょっと、どういう事なの?

あなたって、そんな失礼な事ばっかり言ってて、

良く平気ね。

どうせ、いつもそういう風に私の事を見てたんでしょ?

解ってるんだからね。」

といった具合で、もう思考回路がショートしている。

そう、解ってないのはサユミだ。

ぼーっと眺めて居たどどさんだったが、

割とこういう狂った人を相手するのは、

酒のアテになる。

「えーーどうしてサユミさんはそう思ったの?」

狂ってる人には質問が良い。

ちょっと我に返って頂き、冷静さを取り戻して頂くのだ。

「どうしてって、だってそうじゃない?

そんな失礼な事がサラっと言えるって事は、

いつも、そう思ってるからじゃないの?」

「失礼だと思ったのはサユミさんであって、

ユカは決して馬鹿にしてる訳じゃないと思うけど?」

「卑屈になってる原因が、彼氏が居ないから?

と、予想しただけで、

彼氏の居ない人が全員卑屈なわけじゃないでしょ?」

「だいたい、サユミさんの話なんて今してないですよ」

「どうして、自分の事を言われたと思ったの?」

「あ、ちょっと飲みすぎて聞き間違えたのかもよ?」

「ね、そうじゃない??」

嘘みたいな展開だけど、

所詮酔っぱらいなので、

これくらいの話をそれ風に展開するだけで、

割と収まったりするのだ。

だいたい、この辺りまで来ると、

気分を取り直して、

納得してくれるものだ。

なんせ酔っぱらいなので。

そして、じゃあもう一杯づつ飲んで帰りますか?

という、展開だ。

すっかり機嫌が直ったサユミだが、

かなり酔っぱらってる事には変わりなく、

フラフラと足元もおぼつかない。

居酒屋まで自転車で来ていたので、

危ないから、自転車はやめたら?

と、言ったが聞かず、

店を出てから自転車を漕ぎ始めた。

辞めれば良いのに、

「バイバイまたねー」と振り返ったもんだから、

バランスを崩して、塀に激突!

そして、転んだ。

慌ててユカと走り寄ると、指から血が出ていた。

サユミ、良い加減にしろよ。

「痛いよーーー」

年甲斐も無く、泣き始めるとか・・・

なんて面倒な女なのだ。

近所にあった総合病院の急患受付に駆け込んで、

診察して貰えたのは良かったけど。

ユカと二人で、

暫くサユミさんは、飲み会に誘うの辞めようね。

ただの酒乱だから。

と、話がまとまったのだった。

サユミさんは、その後も独身を貫き、

一人暮らし用のマンションまで購入し、

悠々自適にシングルライフを満喫している、

と、信じたい。

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