どど飲み話7 ダブルブッキングな女

学生時代からの友人リサは、

昔から、飲み会をダブルブッキングする、不可解な女だ。

 

ダブルブッキングというと、

どちらかの約束を断るのが、

普通の人の考え方だと思うが、

リサは違う。

 

約束している双方と、

合同で飲み会を開いてしまうのだ。

 

出会いが増えると言うと、

聞こえは良いが、

初めて会った人と、

何を話したら良いのか?

そして何を話したらダメなのか、

気を使う所である。

 

そんなダブルブッキングの歴史は、

学生時代に遡る。

 

ある日、リサが家に遊びにくれば?

と言うので、出かけたところ、

リサの高校時代からの友人ユリカが居た事があった。

 

ユリカはそれをきっかけに一緒に遊ぶようになったのだけど。

 

そして、働き出して間もないころ、

いつもの様に、リサと待ち合わせしてたら、

待ち合わせ場所に、職場の友人ユキを連れて来たり。

 

まあ、ユキとも仲良くなって、

その後一緒に遊んだりしてましたけどね。

 

そんな感じで、リサの友人関係には、

「境界線」というものが存在しないのだ。

 

境界線が無いのは、リサの両親も同じ事で、

ダブルブッキングの相手が、

家族だったりするという、

何ともオープンな一家だった。

 

だいたい、リサの両親と飲んでると、

家に泊まれ。

と、言われるので、

そのままリサの家に行くことが日常茶飯事になっていた。

 

 

家に行くと、

リサママに、

「布団敷いて!」とか

「風呂掃除してきて!」とか言われるんだが、

初めは、人様の家のものを勝手に触るのは、

気が引けたのだが、

最終的には、勝手に風呂を沸かして、

勝手に入って、

勝手に風呂上りのビールまで飲むようになった。

 

なぜなら、ビール用の冷蔵庫が、

風呂の脱衣所(洗面所)に設置されているという、

変わった家だったからだ。

(そんな理由じゃないだろ?というツッコミ待ってる)

 

しかも、私が泊る時にいつも使わせてくれる部屋まであって、

ぶっちゃけ、実家よりも、

居心地がいいのだ。

 

ある日、リサの家の近くで飲んでたのだが、

リサが、ちょっと用事があるとかで、

先に家行ってて!と言われたのだ。

 

普通に考えたら、人様の家に勝手に入るとかおかしいし、

普通、自分の家に行くのに、

友達を先に行かせるとか、

絶対に有り得ない。

 

しかも、鍵が無いから、

秘密の入り口から入ってくれって言われてて(爆)

 

秘密の入り口とは、和室の隅に設えた、

雪見窓。

床から高さ90cm程の窓の鍵を、

緊急の事態に備えて開けているのだ。

 

緊急の事態とは、その時のどどさんの様な事態なのか?

と、謎は深まるばかりだが、

とにかく、リサに言われた様に、侵入するしか無かった。

 

リサも、何だって先に帰らせるかな?

いつもダブルブッキングな癖に!

 

まあ、ほろ酔いで家に着くと、

リサの家族は、勿論帰っておらず、

いつもの様に風呂を沸かして入ることにした。

 

風呂に浸かって出てきても誰も帰って来ないものだから、

パンツだけ履いて、

バスタオルを巻いて、ウロウロしていたどどさんだったが、

流石に酒が回って、そのまま畳の部屋で横になって、

少し寝てしまったのだ。

そしたら、なんとリサの弟が帰ってきてしまい、

 

「おい!どどちゃん、なにしてんだよ!」

 

「え?何って風呂入ってうたた寝だけど、何か?」

 

「あ、そーですか」

 

ん?なんか変だな。

 

あ!

あ!

ヤベエ!!

変な格好だった!

 

「あ、ごめんよ!」

 

何故か弟に謝った、どどさんでした。

 

程なくして、両親が帰ってきて、

 

「え、なんでどどちゃん居るの?

リサは?」

 

リサの用事は、多分男絡みだという、

直感みたいなものがあって、

とっさについた嘘は、

 

「さっき、あそこの居酒屋に居たら、

高校の部活の仲間がやって来て、

同窓会の相談するとかで、

私、関係ないから先に帰ってきたんだ」

 

我ながら天才的だと思いながら、

リサを抜いたリサの家族と、

食卓を囲み、

さっき、風呂入ったら酒が回っちゃって、

タオル巻いて転がってるとこを、

弟君に見られたんだよ!

って話を、ゲラ笑いしながら話してたら、

弟君も、

 

「俺、ビックリしたよ!誰も居ないはずなのに、裸の女が居てさ」

 

「えーーーでも、おっぱい見えなかったでしょ?」

 

「どどちゃんのおっぱいなんか、見ても何とも思わないけどな!」

 

「失礼だなお前!リサのまな板とは違うんだぜ!」

 

「どどちゃん、デカいもんな!」

 

一同「わっはっは!!」

 

こんな、意味不明な一家団欒の所に、

リサが帰って来た。

 

男と何かあったのかもしれないが、

笑い話にかき消され、

1人帰宅が遅い事も咎められず、

逆にあまりの盛り上がりに、

疎外感すら覚えるくらいだったかも。

 

ダブルブッキングな女、リサは、

現在も飲み友達で、

年を追うごとに、更にパワーアップした、

ダブルブッキングを展開している。

 

ユリカの結婚式に、

どどさんの元旦那を呼んだ話は、

箱を変えてお話します。(爆)

 

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