学生時代からの友人リサは、
昔から、飲み会をダブルブッキングする、不可解な女だ。
ダブルブッキングというと、
どちらかの約束を断るのが、
普通の人の考え方だと思うが、
リサは違う。
約束している双方と、
合同で飲み会を開いてしまうのだ。
出会いが増えると言うと、
聞こえは良いが、
初めて会った人と、
何を話したら良いのか?
そして何を話したらダメなのか、
気を使う所である。
そんなダブルブッキングの歴史は、
学生時代に遡る。
ある日、リサが家に遊びにくれば?
と言うので、出かけたところ、
リサの高校時代からの友人ユリカが居た事があった。
ユリカはそれをきっかけに一緒に遊ぶようになったのだけど。
そして、働き出して間もないころ、
いつもの様に、リサと待ち合わせしてたら、
待ち合わせ場所に、職場の友人ユキを連れて来たり。
まあ、ユキとも仲良くなって、
その後一緒に遊んだりしてましたけどね。
そんな感じで、リサの友人関係には、
「境界線」というものが存在しないのだ。
境界線が無いのは、リサの両親も同じ事で、
ダブルブッキングの相手が、
家族だったりするという、
何ともオープンな一家だった。
だいたい、リサの両親と飲んでると、
家に泊まれ。
と、言われるので、
そのままリサの家に行くことが日常茶飯事になっていた。

家に行くと、
リサママに、
「布団敷いて!」とか
「風呂掃除してきて!」とか言われるんだが、
初めは、人様の家のものを勝手に触るのは、
気が引けたのだが、
最終的には、勝手に風呂を沸かして、
勝手に入って、
勝手に風呂上りのビールまで飲むようになった。
なぜなら、ビール用の冷蔵庫が、
風呂の脱衣所(洗面所)に設置されているという、
変わった家だったからだ。
(そんな理由じゃないだろ?というツッコミ待ってる)
しかも、私が泊る時にいつも使わせてくれる部屋まであって、
ぶっちゃけ、実家よりも、
居心地がいいのだ。
ある日、リサの家の近くで飲んでたのだが、
リサが、ちょっと用事があるとかで、
先に家行ってて!と言われたのだ。
普通に考えたら、人様の家に勝手に入るとかおかしいし、
普通、自分の家に行くのに、
友達を先に行かせるとか、
絶対に有り得ない。
しかも、鍵が無いから、
秘密の入り口から入ってくれって言われてて(爆)
秘密の入り口とは、和室の隅に設えた、
雪見窓。
床から高さ90cm程の窓の鍵を、
緊急の事態に備えて開けているのだ。
緊急の事態とは、その時のどどさんの様な事態なのか?
と、謎は深まるばかりだが、
とにかく、リサに言われた様に、侵入するしか無かった。
リサも、何だって先に帰らせるかな?
いつもダブルブッキングな癖に!
まあ、ほろ酔いで家に着くと、
リサの家族は、勿論帰っておらず、
いつもの様に風呂を沸かして入ることにした。
風呂に浸かって出てきても誰も帰って来ないものだから、
パンツだけ履いて、
バスタオルを巻いて、ウロウロしていたどどさんだったが、
流石に酒が回って、そのまま畳の部屋で横になって、
少し寝てしまったのだ。
そしたら、なんとリサの弟が帰ってきてしまい、
「おい!どどちゃん、なにしてんだよ!」
「え?何って風呂入ってうたた寝だけど、何か?」
「あ、そーですか」
ん?なんか変だな。
あ!
あ!
ヤベエ!!
変な格好だった!
「あ、ごめんよ!」
何故か弟に謝った、どどさんでした。
程なくして、両親が帰ってきて、
「え、なんでどどちゃん居るの?
リサは?」
リサの用事は、多分男絡みだという、
直感みたいなものがあって、
とっさについた嘘は、
「さっき、あそこの居酒屋に居たら、
高校の部活の仲間がやって来て、
同窓会の相談するとかで、
私、関係ないから先に帰ってきたんだ」
我ながら天才的だと思いながら、
リサを抜いたリサの家族と、
食卓を囲み、
さっき、風呂入ったら酒が回っちゃって、
タオル巻いて転がってるとこを、
弟君に見られたんだよ!
って話を、ゲラ笑いしながら話してたら、
弟君も、
「俺、ビックリしたよ!誰も居ないはずなのに、裸の女が居てさ」
「えーーーでも、おっぱい見えなかったでしょ?」
「どどちゃんのおっぱいなんか、見ても何とも思わないけどな!」
「失礼だなお前!リサのまな板とは違うんだぜ!」
「どどちゃん、デカいもんな!」
一同「わっはっは!!」
こんな、意味不明な一家団欒の所に、
リサが帰って来た。
男と何かあったのかもしれないが、
笑い話にかき消され、
1人帰宅が遅い事も咎められず、
逆にあまりの盛り上がりに、
疎外感すら覚えるくらいだったかも。
ダブルブッキングな女、リサは、
現在も飲み友達で、
年を追うごとに、更にパワーアップした、
ダブルブッキングを展開している。
ユリカの結婚式に、
どどさんの元旦那を呼んだ話は、
箱を変えてお話します。(爆)
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