エンパス体質なダーリンを救いたい一心で、正月行事を辞めたどどさんの話

この世には、エンパス体質と呼ばれる、

スポンジの様な人種が居るのだ。

 

簡単に言うと、人や霊から発せられる、

負のエネルギーや気を吸い取って、

どんどん疲れてしまう人間。

 

うちのダーリン「マナト」さんがそれだ。

 

マナトさんはバーテンダーという職業柄、

負のエネルギーを発散しにくる、

性質の悪い客の相手もしなければならない。

 

それは、仕方のない事なのだが、

本人の気の持ち様で、

だいぶブロック出来る筈なのだが、

どういう訳か、

自分の事をよく理解出来て居ないのか、

昔からそれが当たり前になっていたから、

諦めていたのか?

良く解らないけど、

なんの策も講じず、

そのままスポンジの様に、

世の中に蔓延する悪い気を吸い取って、

どんどん疲れて、病気になって、

身体が悪くなっていくマナトさんなのだ。

 

千と千尋の神隠しに出てくる、

「くされ神」みたいなやつだと思った。

 

どどさんがマナトさんに出会った事の意味が、

何かしらあるのだとするなら、

マナトさんのエンパス体質をガードする役目なんじゃないかと思う。

くされ神をお湯につけて、クリーニングする。

そんな役割。

 

まずは、マインド作り。

いちいち酒飲みの話を真剣に聞かない事を、

何かの折に付け、永遠言い続けてる。

これは、癖付けして行けば、

誰でも出来る事だと思うけど、

なんせマナトさん、

非常にまじめなので。

スーパーいい加減な私と一緒に居る事で、

大分、良くなったと思う。

 

そして、マナトさんには、天敵が居る。

その天敵に会うと、

みるみる具合が悪くなるので、

もう、会わなくて良い。

 

その天敵とは、他でもないマナトさんのお姉さんなのだ。

 

どどさんと結婚して、あやちゃんが生まれ、

子供を見に来る機会も会った方が良いだろうし、

同居しているバアサンにも会いたいだろうからと、

正月にどど家に招いて、

簡単な正月料理と、

鍋を振る舞っていたのだが、

来るたびに、マナトさんが機嫌が悪くなるので、

正直、呼びたくないと思ってた。

 

しかし、断る訳にも行かないのが、

この正月の行事。

 

どどさんは、長男の嫁なのだ!

ここは、我慢もしないとだし、

たまには嫁っぽい事もしなければ!

という、使命感みたいなものが、

あったのだ!

 

別に、そんな使命感など、

持ってなくても良かった筈なのだが、

マナトさんもそれを望んでいるのでは?

という、勝手な思い込みが、

物事を複雑にしていたと思う。

 

「長男の嫁」っていう、

パワーワードは、人間を狂わせる。

 

お姉さんは、昼過ぎにケーキを持って、

やってくる。

お姉さんの旦那様も一緒に来るのだ

 

こちらで用意した、料理を食べてもらい、

お姉さんの買ってきたケーキを食べるのが、

定番だった。

 

食事中は、普通に受け答えしている、

マナトさんだったが、

食後になるととたんに無言になり、

テレビを見て、何か気を紛らわしている様だった。

 

お姉さんが帰っていくと、

必ず、あやちゃんをバアサンに預けて、

マナトさんとどどさんは、

居酒屋へ出かけた。

 

そこで、マナトさんの積年の恨みや、

その日あった、お姉さんへの愚痴を聞くのだ。

 

毒を吐ききったマナトさんは、

元気を取り戻し、

気分転換して、家に帰るのだ。

 

そんな正月の行事を5回ほど続けた頃だろうか?

 

マナトさんは、完全に嫌気がさしていた。

 

そして、私は過去5回を振り返り、

ある仮説に辿り着いた。

 

「ねえ、マナトさん。

お姉さんが家に来ると、

みるみる具合が悪くなって行ってる様に見えるんだけど。

顔色も悪くなるし、なんせ、身体がだるそうなんだよ。」

 

マナトさんは、

「そりゃ、あんな暗い話ばっかり聞いてたら、具合も悪くなるよ!」

 

マナトさん、解ってないよ。

どどさんが言いたいのは、

貴方の霊感とか、エンパス体質の話だよ?

でも、そんなスピっぽい話、

どーせ信じないよね?

 

お姉さんは、専業主婦の前は、

家事手伝いのニートでひきこもりだった。

 

子供の頃から、アトピーだったお姉さんは、

色んな病院にバアサンと通い、

めちゃくちゃ甘やかされていた。

しかし、マナトさんには厳しくて、

マナトさんは、子供の頃から、

母親であるバアサンが理不尽な人だと思っていたようだった。

勿論、たいした結果も出せない癖に、

いつも偉そうにするお姉さんに対しても同様だ。

 

バアサンとお姉さんは、

家ではとても偉そうにしていて、

マナトさんの話は、必ず否定から入る。

そんな主従関係を彷彿させてしまうのが、

正月の会合だったのだ。

 

ほんのちょっとしたものの言い方や、

受け答えの中に、

お姉さんとバアサンの傲慢さが見え隠れする。

 

他人であるどどさんは、

ホント、バカだなあ。

と、心の中で嘲笑していたけど。

どどさんを、小ばかにするような言動を、

マナトさんは、許さないし、

それを、適当に流すどどさんにも腹が立つと言うのだから、

マナトさんの心の闇は、

どれだけ広がって居るのか?

と、心配になる程である。

 

 

「あのさ、家に来てもらうと、

帰ってくれるまで、待たないとじゃない?

店で会えば良くないか?」

 

そんな訳で、その後の2回は、

店で会った。

 

2時間したら、食べ終わるので、

では、帰りましょう!

と、お別れするのだ。

 

それで、大分マナトさんの体調は、

保たれたのだが、

精神的苦痛は、変わらないようだった。

 

そして、その次の正月がやって来た。

 

このタイミングで、私の実家の父が亡くなったので、

マナトさんは、伝家の宝刀を振りかざした。

 

「アイツのお父さん亡くなったから、

喪中だから、今年はやらないよ」

 

ちなみに、お父さんが死んだのは2月なんだけど(笑)

ぶっちゃけ、ちょっと忘れていたどどさんでしたが、

マナトさんが、自己防衛の為の策を講じたのは嬉しかった。

 

お姉さんとの会合を断ったマナトさんは、

とても晴れやかだった。

 

そして、次の年も、別に初めから無かった事にしたのだ。

 

それに関して、何か言って来たらと思ったら、

また、マナトさんが病んでしまうな。

マナトさんが病むと、

どどさんにとばっちりが来るからね。

 

そんな訳で、何か言われたら、

「もう、めんどくさいし、

どどさんがやりたく無いって言ってる。

って事にして良いよ。

私は、お姉さんやバアサンに嫌われても何とも思わない。

むしろ、マナトさんの健康を害するような人は、

もう、二度と会わなくても良いから。

何か言って来たら、マナトさんのお姉さんには、

悪いけど、二度と会わなくても良いと思ってるから。」

 

って言ったんですよ。

 

マナトさんは、ちょっと、泣きそうな笑顔で、

一言、

「ありがとう」

って言ったんだ。

 

これからもマナトは俺が守る!!

 

文中のマナトさんは、朝夏まなと様とはなんの関係もございません。

(自分への確認)

 

 

 

 

 

 

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