ダブルブッキングな女「リサ」を覚えてますか?
ダブルブッキングな女リサのお父さんも、
ダブルブッキングな人なのかも知れない。
リサのお父さんの地元の居酒屋常連仲間が、
なかなか濃い面子なのだが、
その中でも特にどどさんの人生に影響を与えてくれたのが、
スズキさんだと思う。
スズキさんは、何の仕事をしているのか、
イマイチ解らないけど、
借金で倒産した会社に、
管財人として入り、
債権者との仲裁をするような仕事だったと思う。
二束三文にしかならない、大量の株券を売りさばいたり、
お金になりそうなものを、
持ってきては、売りさばいたり。
まあ、良く解らないけど、そんな仕事の人なのだ。
スズキさんはお稼ぎの為、
豪邸に住んでいるのだが、
嫁の母親と同居していて、
その年老いた母親を、
「クソババア」と言う呼び名にしていた。
年の頃60前後と思われるスズキさんだが、
全くオトナゲないのだ。
ある日、リサに呼ばれていつもの様に、
リサの地元の居酒屋に行くと、
リサの両親と、一緒にスズキさんは居た。
初めましてという挨拶もそこそこに、
すぐに打ち解けるのは、
リサマジックなのか?
リサパパマジックなのか?
さすがダブルブッキングファミリーと言うべきか、
そこに付き合えるスキルを持った人達の集団とも言えるのでは?
どどさんも含めて・・・
なんでも境界線無く、付き合う家族なのが、
リサの家族の良い所。
と、いう事にしておこう。
リサパパが、
「スズキさん、車買ったんだってよ!」
と、言うので、
社交辞令で、
「何買ったの?」
と、聞いてみたのだ。
ええ、社交辞令ね。
どどさん、車なんか自転車と同じ感覚だから、
ただの乗り物。
移動の手段。
高級だろうが、何だろうが、
あまり興味がないため、
車種とか聞いても、すぐに忘れる。
スズキさんは確かBMWを買ったんだと記憶している。
そして驚くことに、
スズキさん自身も、BMWという所は、
どうでも良かったのだ。
「俺はさ、クソババアを絶対に乗せたくないのよ。
だから、2シーターのクーペにしたんだ」
ああ、世の中にこんなに自分の気持ちに正直に生きている人が居るのか!
と、目から鱗が落ちましたね。
ご高齢のクソババアを移動するときに、
運転手にならない為に、
クーペを買うとか・・・
車には興味がないけど、
セダンよりクーペの方が高いって事くらいは知ってる。
スズキさんの執念を感じたのと同時に、
こんな年寄りになるべきだなと思った。
スズキさんの話は、最終的にクソババアの悪口で終わるのだが、
「ほんと、クソババアなんだよ。」
というキメ文句が随所に光り、
聞いてるコチラがスッキリするような勢い。
あまりにクソババアを連呼するので、
「間違えて本人に言っちゃう時無いですか?」
と、聞いてみたんだよね。
「え?いつもクソババアって言ってるよ。」
本当に予想の斜め上だ。
そんな破天荒な所が、とても魅力的なオッサンだと思った。
その後、スズキさんに会うと、
「お宅のクソババアは元気ですか?」
と、聞くのが定番だった。
その度に、顔をしかめて、
「それがクソババア、死なねえんだよ!」
と、残念そうにいう所も、
どどさん的には大好物。
そんなスズキさんと、いつも一緒に居る、
リサパパの友人ミナトさんもまた、
「クソババア」を割と連呼する人だった。
ミナトさんの「クソババア」は、自分の嫁の事。
なんと、ミナトさんは離婚もせず、
別居して約15年という、
なかなかの強者だった。
ミナトさんのクソババアは、なぜ離婚しないのか?
全く謎ではあったが、
別居状態のミナトさんの凄い所は、
ちゃんと、家族を養いつつ、
愛人を作ってるところだった。
ミナトさんのその頃の愛人は、韓国人で、
毎月、愛人に御手当てを50万円渡しているとか?
そんな、とんでもない話を沢山聞いた(笑)
そしてこの二人は、いつもクソババアの話をしていた。
スズキさんがクソババアをこき下ろせば、
ミナトさんが、
「ウチのなんか、それでいて若いんだから、
性質が悪いよな。
スズキさんとこのクソババアはそのうち死ぬけど、
ウチのは、俺より長生きするぜ!」
「何言ってんだよ。
ウチのクソババアは、妖怪だから死なないよ」
という流れで、
クソババアへのエンドレスなディスり大会が、
傍から見てると大爆笑なコントに思えた。
そう、「思えた」のだが、
それから数年後、どどさんにもクソババアが降臨し、
スズキさんや、ミナトさんの事が少し解るようになった。
ええ、本人いたって真面目にディスってます。
お笑い要素ゼロですよ。
むしろ、心にしまい切れない苦しみを、
あえて吐露できる、
まるでパラダイスの様な空間だったのが、
クソババアに悩む仲間が集う居酒屋だったのだ。
今こそ、スズキさんとミナトさんと、
クソババアについて語り明かしたいが、
流石にスズキさんのクソババアは生きてないと思うし、
ミナトさんのクソババアも、
息子から
「いい加減別れろよ!俺が面倒見てやるから!」
という、落し文句に、
約20年間の別居婚を解消したという。
依存心の強い女は、
別の宿主を見つけたら、
そちらに移動するのだ。
ヤドカリみたいなものだな・・・・・
そして、スズキさんは、今は中国人の女性と事実婚状態だ。
向こうのご両親ともすっかり打ち解けている。
その中国人の彼女は、恐ろしく出来る女で、
中国人が嫌いだと言うのがなかなか興味深い。
しかし、この二人が居たおかげで、
どどさんは、クソババアにそれほど悩む事も無く、
生きている。
人間、やりたいと思った事はやって良いし、
やりたくない事は、やらなくて良いんだ。
自分に正直に生きる事、
自分を騙さず常に向き合う事。
それが強さの秘訣だから。

残り7日間、朝夏まなと様と向き合って生きるわ。
コメントを残す