バレンタインデーのハイボール

先にお断りしておくね。

好きな男の子にチョコレートを渡したとか、

そういう話じゃ無いからね。

期待を裏切らないように、

先に断っておきますね(笑)

 

あれは、2015年のバレンタインデーの話なので、

今からちょうど3年前の出来事だ。

 

タカラヅカでは、

星組のトップスターにして、

「レジェンド」と呼ばれる柚希礼音さんの退団公演が開催されていた。

なんせレジェンド。

人気も絶頂で、チケットは異常なまでの争奪戦。

どどさん、完全に闘いに負けて、

柚希さんの退団公演は、

一度もみれずに終わるのかな?と思っていた。

 

しかし、そんな時に有難い友人が居るのである。

 

「土曜日のチケット、ダブったから、行かない?」

 

と、声がかかったのだ。

 

渡りに船とはこの事。

二つ返事で行く事にした。

 

ヅカオタは、ファンクラブで取次が出なかった時の為に、

自力チケットを確保するのが定番で、

そして、ダブったチケットは、ヅカオタ仲間で回すのだ。

 

なので、沢山ヅカオタ仲間を作っておくと、

行きたい公演に行ける確率が上がるのです。

 

私も、そんな感じで、友人に協力がてら、

自分が行けない公演もプレイガイドに申し込んで、

万が一ダブってしまった時は、

自分が行きたい公演のチケットと

交換して貰えるサイトなどを利用し、

なんとかやりくりしているのです。

 

ほんと、ヅカのチケットで、

色んなスキルを要求される。

 

ネットが苦手で・・・

なんて言ってられないのだ。

ご贔屓に会う為には、

ガラケーでは話にならない(笑)

 

どどさんは、ガラケーとスマホの二台持ちですけど。

 

オタクのコミュニケーションはスマホで(笑)

家族や各種連絡先はガラケー。

 

話を3年前に戻しますね。

 

どどさんの父は、

脳梗塞で半身不随の為、

老人ホームに入っていたのだ。

あれは忘れもしない、2014年の年末。

というか、12月の半ば頃だったかな?

ふと、

父は、次の誕生日まで生きれないかもな・・・

生きているうちに会えるのは、最後かも知れないな。

 

どういう訳だか、

ふと、

そんな思いがこみ上げたのだ。

 

そして、行こうかどうしようか・・・

悩んでいるうちに、2月になってしまった。

父の誕生日は2月7日だった。

 

明らかな「虫の知らせ」だったんだと思う。

 

でも、その頃の父は、痴呆も入って来ていて、

表情も無表情だし、

お話しも噛み合わない。

 

自分の中では、このまま会わなくても、

元気だった時の思い出を胸に置いておこう。

 

と、決めたのだ。

 

そして、誕生日が過ぎた頃、

案の定というか・・・

 

父の体調が悪くなって行ったのだった。

 

携帯の番号すら知らなかった兄に、

電話をかけたのも、

今では良い思い出だけど。

 

そして、どういう訳だか、

金曜日に、更に体調が悪くなり、

老人ホームから、病院に搬送された。

でも、ちょっとしたら元気になって、

ホームへ戻ったそうだ。

 

いよいよなのかな?

と思った。

 

いつ死んでもおかしくないです。

という状態で、8年もの間生きていたのだ。

 

もう、父に自分の子供を見せる事は無いのかも知れない。

と、人生を悲観していた時期もあったが、

何とか授かった我が子が、

自力でスタスタ歩き、

そして、小学生になっていた。

そんな時まで生きてくれていたのは、

本当に有難かった。

 

私の夢をちゃんと叶えてくれていた父だった。

子供を産んで、

父に会って欲しいという、

私の夢を、命を細々と繋ぐ事で叶えてくれた。

 

 

そして、お別れの日は、

2月14日にやってきた。

 

朝、ホームで朝ごはんを食べて居たら、

具合が悪くなり、そのまま病院へ。

 

私は、星組観劇は諦めようと思っていたのだが、

父は死ぬ時まで優しい。

 

朝に具合が悪くなった父は、

程なくしてあの世へ。

せっかちな父らしく、

さっさと行ってしまった。

 

そして、葬儀の日程上、

お通夜と葬式には出席して貰いたいから、

今は来なくて良いとの事だった。

 

どうせ、死に目には会えないと思ってた。

今住んでる所から、

実家へは片道4時間半かかる。

 

父の病気は、心筋梗塞と脳梗塞のダブルリーチだったので、

どこかの血管が詰まれば、

そのまま終了だったのだ。

 

間に合う訳がない。

 

そんな訳で、どどさんは星組観劇に出かけた。

 

「お父さん、ありがとう!柚希さん超カッコいいよ!」

 

と、感謝の気持ちを忘れずに観劇しましたよ。

 

サヨナラ公演だった事もあり、

ラストシーンは、

柚希さんが、1人船で旅立つという。

そんなお話で、

旅立って行った父を思い出したのか?

と、聞かれれば、

全く思い出さなかったけど(笑)

 

数日後、家族と共に新幹線ホームに居たところ、

隣の車両に乗り込むタカラジェンヌを見かけたのも、

父からのプレゼントだったかもな。(笑)

 

そして、葬儀は滞りなく終わり、

火葬場に行く前に、お棺の中に、

思い出の品物を入れて良いよ!

と、葬儀屋さんに言われてたので、

どどさんは、

ダーリン作のハイボールを入れたんですよ。

 

父は生前、

「ハイボールが飲みたい」って言ってたからね。

 

ダーリンが作ったハイボールは飲んで貰えなかったけど、

どどさんは、最後に親孝行出来たと思ってる。

 

だって、ダーリンのハイボール、超美味しいから。

多分、父が飲んできたハイボールよりも、

ずーっと美味しいと思うから。

 

父が死んだ日に宝塚大劇場で、

柚希礼音さんの、

サヨナラ公演を観たのは、

親兄弟親戚、そしてどどさんの家族には、

絶対秘密!

墓場まで持って行こうと思っていたが、

少々、荷が重くなってきたので、

初めてここでカミングアウトしましたよ(笑)

 

バレンタインデーに死んだ父。

忘れないように、覚え易い日に逝ったのは、

寂しがり屋な父らしいね。

 

ダーリン作のハイボール。

氷を入れず、常温のソーダで割ったもの。

ウイスキーの香りが立ち、

ソーダの炭酸が後味をキレ良く。

横に置いたチェイサーは水ではなく、

常温のソーダ。

 

ハイボールの余韻を壊さない、

心遣い。

 

父と同じようにどどさんに優しいダーリンと、

結婚できて、良かったなとつくづく思う。

 

本当は、やっぱりあの時会いに行った方が良かったかな?

そんなボヤキに、

「それ言ったらキリないで。」

と、無駄な思考を断ち切ってくれるのは、

本当の意味での優しさを感じる。

 

ダーリンの作るお酒は、

いつだって、何かをリセットしてくれる、

キレの良さなんだよね。

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