12年前に貰ったギフトを受け取った日 腸重積の思い出

家に帰って、仕込んでいた参鶏湯を食べようと、
ウキウキしていたところ、

リビングに寝っ転がっていた娘が、

「お、お腹が・・・・・い・・・痛い」

と、苦痛に顔を歪ませ、訴えてきた。

 

その時脳裏をかすめたのは、

生後半年の頃の事。

 

あの夜、いつもと違う不機嫌さと、変な匂いの便に驚き、

いつもは、夜中のオムツ交換は暗闇で行うのに、

電気を点けたのだった。

明かりに照らされたオムツが、

ああ、これが「いちごジャム状と言うものか!」

と納得するアレであった。

 

子供の病気の本など、

なんの助けになるのだろうか?

と、特に必要としていなかった私だが、

姑が欲しいと言うので、

一冊購入していたものがあり、

確かアレだ!

と、開いたページは、

「腸重積」

 

今まで一度も吐いた事がない娘が、

ケポっと戻したのだ。

 

ああ、「腸重積」だ!

 

と、謎の確信を得た私は、

市の救急相談窓口に電話をした。

 

明らか腸重積の症状と思われる事柄を、

時系列で説明。

すぐに、救急診療所へ行く様に促されたので、

 

着替えや予備のオムツなどを用意し、

抱っこ紐で娘と合体。

なんやら話しかけてくる姑を、

適当にスルーしてタクシーに飛び乗った。

 

自宅前が幹線道路だった為、

夜中でもやたらとタクシーが通る。

ものの3分もかからずにタクシーに乗り込み、

行く先を救急診療所に指定すると、

運転手さんが、救急車のハンドルを握っているかの様に、

張り切って送ってくれた。

診療所は反対車線だった為、ちょっと先の信号でUターン。

横付けしてくれたのだ。

 

ああなんて優しい運転手さん。

 

救急診療所は、日付が変わりそうな時間にも関わらず、

たくさんの急患でごった返していた。

 

髪の毛モジャモジャの汚医(笑)が、

ほんと、この人解ってるかな?

と言う風情で、不安しかない。

 

とにかく、自分の直感「腸重積」を、

いかに納得させるかのプレゼンを行う私。

 

例のいちごジャムのオムツも持参していたので、

見てくれ!と言ったが断られた!

 

汚医が、しばらく待っていて。

と、言うので、なんのこっちゃと思ったら、

「腸重積の可能性が高いので、高圧浣腸と手術してくれる施設を今から探します」

と言ったので、内心ガッツポーズ。

 

しばらく待っていたら、

「高圧浣腸してくれる施設が見つかったから、とりあえずそこに行ってください」

と・・・・

「え?どこの病院ですか?」

「あ、救急車呼んだから」

 

え?救急車?????

 

ほどなくして、救急隊員が到着して、

「お母さん、荷物持つので、お子さん抱っこして付いてきてください」

って言うので、急いで付いて行くと、

まるでドラマの様に玄関前に救急車が乗り口を開けて待っている。

 

救急車に乗り込むと、

発車して間も無く高速道路に乗ったので、

一体どこに連れて行かれるのか、

不安が広がる。

そう、どこの病院に行くのか、この時点で知らなかったのだ。

救急隊員に、行く先を尋ねたところ、

「A病院ですよ」と。

え?近いじゃん。

 

高速利用したせいか

10分で到着。

 

救急車から降りると、医者と看護婦が待ち受けていた。

ドラマの様だった。

 

気になったのは、スキンヘッドのハゲ医。

完全にダーリンとキャラ被り。

 

後ほど病院に駆けつけてくれたダーリンとハゲ医の対面を、

「あら、お父さんと先生似てますね」と笑った看護婦さんは罪深い。

 

高圧浣腸で完治した娘と、朝方家に帰ると、

姑が、

「そんで、どうなったん?」

と聞いてきたので、

「治ったよ」

と、シンプルに答える。

 

どどさんは何も言ってくれないから・・・

とブツブツ言うけど、

何のメリットもないから仕方ない。

 

 

あの頃と変わったのは、娘のサイズ。

大きすぎて抱っこはできない。

手を引いて、タクシーに乗り、

12年前に一度だけ行った総合病院に向かう。

 

総合病院は、紹介が無いと見てもらえないものだが、

診察券を持っているなら、

行けるから!

と、以前一緒に働いていた方が、教えてくれた。

 

その事を忘れず、

診察券をお守りの様に大切に保管していたのだ。

 

診察券の後ろの代表電話にかけて、

事情を説明したら、

来たら診察しますよ。

と、医師が言うので、

駆けつけたと言う経緯。

 

久しぶりに行くと、

当たり前だが、ハゲ医はいなかった。

 

スネ夫みたいな前髪の若医が。

やたら丁寧に診察してくれて、

あまりの激痛具合をアピールする娘の為に、

レントゲンやら外科医を召喚してエコーもしてくれた。

 

エコー検査の最中、

若医と外科医のオタク対決が始まり、

ほんと、医者ってこういうとこやぞ!

というね。

 

これは、あれですかね。

そうですね、でも、そんなでも無いかな・・・

ああ、ですね。

まあ、こっちも問題ないし、

でも、もう一度見てみようか

うーん、やっぱり無いですね。

 

こんな会話をずっとするのが医者だよな。

 

結果は盲腸でもなく、卵巣嚢腫の破裂でもなく、

腸炎と言う事で、痛み止めや整腸剤を出してもらったのでした。

 

「ママ、ありがとう」

と言って、寝た娘は、相変わらず可愛い。

 

ママは所持金1000円しかなかったけど、

往復のタクシーも診療代金も、

全部カードで支払ったので、

よかったです。

 

家に帰って、参鶏湯のスープだけすすって寝たので、

体重が少し減っていたのも嬉しかったよ。

 

はははははは・・・・・・・・(苦笑)

 

 

 

 

 

 

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